【ブログ】「話せるようになる」ための500の方法
【学校との連携⑪】特別支援学校について③特別支援学校に就学した方がよいケース
場面緘黙の症状のある子の就学先は、ほとんどの場合「通常の学級」「通常の学級+通級による指導」「特別支援学級」のいずれかです。
しかし特別支援学校に就学した方がよいケースも稀にあります。
1.知的障害が重い場合
2.緘黙症状や関連する症状が重く、特別支援学級では対応できない場合
3.緘黙症状や関連する症状は重くないが、特別支援学級では対応できない場合
4.本人の強い希望がある場合
「関連する症状」とは、ここでは緘黙症状以外の緊張や行動の抑制のことだと考えてください。
場面緘黙の症状のある子の中には、話せないだけでなく強い緊張や行動の抑制があり、学校でまったく動けなくなってしまう子もいます。(このような行動の抑制を「緘動(かんどう)」と呼ぶことがあります)
こういった症状が極めて強い子の場合、体が硬直して全く動けなくなってしまい、手を引かれないと移動することもできなくなってしまうこともあります。
このようなケースでは、生活全般にわたる援助が必要になり、特別支援学級では十分な対応ができないため、特別支援学校を利用する方がよいことがあります。
ですので1.や2.のような場合は、障害の程度から考えても特別支援学校への就学は妥当だと言えるでしょう。
緘黙症状や関連する症状が重くないが、特別支援学級では対応できない場合
一方、緘黙症状や関連する症状はそれほど重くなく、本来であれば地域の学校の特別支援学級で学校生活を送ることができるにも関わらず、特別支援学級では対応できないケースもあります。
例えば以下のような例が考えられます。
・人員の配置や担当教員の専門性の問題で、緘黙症状のある子に十分な対応ができない
・他の在籍児との関係で、特別支援学級がその子にとって落ち着いて過ごせる場所になっていない
・学校や自治体の方針により特別支援学級を居場所として活用することができない
これらに共通するのは、「本来は特別支援学級でできるはずの対応」が、主に環境側(学校側)の構造的な要因によってできないということです。
学校側に構造的な要因がある場合、保護者や本人の努力によってそれを変えることは困難です。
このようなケースで、そのまま特別支援学級への在籍を続けていても改善が見込めない場合は、選択肢の一つとして特別支援学校への転校を考えた方がよいかもしれません。
本人の強い希望がある場合
稀に、本人が特別支援学校への転校を強く希望することもあります。
特別支援学校を積極的に希望するというよりは、現在通っている学校以外の学校を希望する、というケースが多いと思います。
例えば以下のような例が考えられます。
・現在の学校では「話さない子」と思われてしまっているので、違う学校に行きたい
・少人数の学校や落ち着いた環境の学校に行きたい
・より専門的な治療が受けられる学校に行きたい
このような場合は、特別支援学校が選択肢になり得るのかどうか、本人が学校を見学する機会を設けるなどして検討するとよいでしょう。