【ブログ】「話せるようになる」ための500の方法

2024-02-19 16:00:00

【連載:場面緘黙と不登校】第8回 対応方法の基本④学校に行った方がいい理由

前回は、不登校の解決が多様であり学校は1つの手段に過ぎないという話をしましたが、その最後で「学校は、行ければ行った方がいい」というのが私の基本的な立場と述べました。

 

今回は「学校に行った方がいい理由」について考えてみましょう。

 

 

学校に行った方がいい理由は1つ:「効率がいいから」

 

はじめに分かりやすく結論を書いてしまいましょう。

私が「学校は、行ければ行った方がいい」と考える理由は「効率がいいから」。

これだけです。

 

「効率がいい」をもう少し詳しく説明すると、こうなります。

・安い

・内容が充実している

・自分で考える必要がない

+社会の側にとってもコストパフォーマンスがいい(これは別の回に説明します)

 

不登校の解決のゴールは多様ということを前回は指摘しました。

自治体の教育支援センターでもいいし、民間のフリースクールでもいいし、自宅でも勉強できます。

こういった方法と、学校(日本の公教育:主に小中学校を想定)とを比較して考えてみましょう。

 

1.安い

学校は圧倒的に安いです。

学用品や給食費や修学旅行などでお金はかかりますが、基本的に無料です。

電気や水道などの生きていくのに必要なインフラでさえお金がかかるわけですから、無料で使えるサービスとしては学校を上回るものはないでしょう。

 

 

2.内容が充実している

教える教師はプロの集団です。

最低4年間の基礎課程があり、厳しい(最近はそうでもない)選抜があり、職に就いてからも「研鑽と修養」を欠かさないのが学校の先生です。

そして学べることや体験できることも盛りだくさんです。

部活動やクラブ活動があり、色々な行事があり、校外学習があり、ゲストティーチャーがあり、色々なことが学べます。

 

3.自分で考える必要がない

日本の学校教育は、大勢の専門家によって議論に議論を重ねた集大成である「学習指導要領」に基づいて行われます。

10年に一度くらいの割合で改訂されていますので、常に最新版と言っていいでしょう。

何を学ぶべきか、自分で考える必要がまったくありません。

 

これらをもし自宅での勉強で補うとしたら、とても大変ですね。

 

 

「効率」以外にはあるか

 

では効率以外に、学校に行った方がいい理由はあるでしょうか。

私は特にないと思っています。

(ただしここは人によって意見が分かれるところですので、みなさんご自身で判断してください)

 

よく言われそうな理由と、それについての私の考えを書いておきましょう。

 

・学校は「社会性が身につく」「集団のルールが学べる」

これは、大人との関わりや異年齢集団との関わり、社会との関わりなどの場があれば、学校でなくても学べると思います。

学校じゃない方が学べることもあるかもしれません。

(だいたい、日本の学校で身につけさせられる「社会性」や「集団のルール」って、そんなにいいものなのでしょうかと私は思ってしまうのですが)

 

・学校じゃないとできないことがある、「運動会」や「修学旅行」は学校じゃないと体験できない

それを言ったら、フリースクールじゃないとできないこともあるし、海外留学じゃないとできないこともあるし、農業体験じゃないとできないこともあります。

「運動会」や「修学旅行」は子どもの健やかな成長に必須のものではありません。

ですのでこれは理由にはならないと私は思います。

 

・同年齢の集団との生活は、思春期・青年期の人格形成に役立つ

これはそうだと思います。

ただ、長く不登校だった方が人格形成に不適応を抱えるかというと、それはその人次第な気もします。

ですので学校でなければならない、というわけでもないように思います。

 

あまり書くと、学校が大好きな人から文句を言われそうなのでこのくらいにします。

 

 

 

 

「学校に行くかどうか」をメリットとデメリットから考える

 

 

とにかく私が言いたいのは、「学校に行った方がいい理由は、効率がいいから」ということです。

なぜそのことをわざわざ強調するかというと、「学校を絶対視しない」「学校を神聖視しない」という視点が大事だと考えているからです。

 

「学校に行った方がいい理由は、効率がいいから」というのは、裏を返せば「効率がよくないなら、行かなくてもいい」という意味です。

つまり学校に行くことのメリットをデメリットが上回るなら別に学校にこだわらなくてもいい、そのくらいに考えるのがよいと思っているのです。

 

では学校に行くことのデメリットとは?

色々な理由で学校が嫌いな子はいるでしょうが、多くの子たちにとってはそんなに大きなデメリットはないでしょう。

総合的に見てメリットがデメリットを上回る子たちは、学校に行くといいでしょう。

 

でも中には、学校に行くことのデメリットが大きい子もいます

学校に行くだけで心身をすり減らし、辛い毎日を送っている子。

行くだけは行っても、様々な刺激に耐えられずとても勉強どころではない子。

そういう場合、いくら内容が充実していても無料でも、行く意味がなくなってしまいます。

メリット・デメリット.png 

ですので、学校に行くのか、行かないのか、の判断をする場合には、「メリットとデメリット」を秤にかけてみてください。

マイナスの方に傾くなら、休んでみるのもいいでしょう。

無理やり行かせてもあまり意味はありません。

そこの判断が大事です。