場面かんもく相談室 いちりづか

【ブログ】「話せるようになる」ための500の方法

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場面緘黙の症状は、適切な対応によって
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「場面緘黙を治す」「話せるようになる」ための
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2024-02-22 16:00:00

【学校との連携②】学校に色々お願いするなら「プレミアムコース」がお勧め

学校との連携でよく質問されることの1つが、「どこまでお願いできるのか」という問題です。

 

色々お願いしたいことはあるけど、「どこまで学校にお願いしたらいいのか分からない」

あれもこれも言っていたら「面倒な保護者」になってしまうのでは・・・

その一方で、「お願いしても学校側がやってくれない」というケースも多いですね。

この問題の答えは、「学校の義務」「教師の裁量」の2つの視点から考えることができます。

 

はじめに前者の「学校の義務」について考えていきましょう。

「学校の義務」を考えるためには、その義務の対象が二段階で設定されていることを理解する必要があります。

 

 

二段構えの制度「学校教育」と「特別支援教育」

 

言うまでもないことですが、学校教育の対象は全ての子どもです。(国籍などの問題で例外はありますが)

そして、これも当たり前ですが、全ての子どもが特別支援教育の対象になっている訳ではありません。

ですので、「通常の学校教育の対象の子」と「特別支援教育の対象の子」が存在することになります。

 

イメージとしては、「通常コース」と「プレミアムコース」です。

動画配信サービスでもスマホアプリの契約でも、よくこういうのがありますね。

 

通常コース プレミアムコース
 基本サービス
 画質 通常 プレミアム
 ストレージ ○○GB ○○+●●GB
 ○○サービス 対象外 無制限

 

特別支援教育の対象の子を、このプレミアムコースの対象と考えると話が分かりやすくなります。

通常コースでは何ができるか、プレミアムコースでは何ができるか、それぞれ見ていきましょう。

 

 

通常コース「学校教育」でできること

 

授業や学校行事など、通常の学校教育の制度で学校が行わないといけないことは無数にあります。

しかし、特別な教育的ニーズのある子への対応として学校に義務づけられているものは多くありません

放課後に担任が時間をとって「話す練習」をするとった個別の対応はあくまで教師のボランティア活動であって、そういった対応が義務づけられている訳ではありません。

「支援会議」の開催や「個別の指導計画」の作成も、通常のコースの子に対しては義務ではありません。

一方「合理的配慮の提供」は特別支援教育の有無に関わらず義務づけられていますので、「音読の順番を飛ばす」「授業中に当てないようにする」といった学校生活での配慮は、必要性が認められれば提供されます。

 

学校における様々な生徒指導上の問題への対応を文部科学省がまとめた「生徒指導提要」という資料があります(2022年に改訂版が出ています)。

「生徒指導提要」は文部科学省の資料としてはとても分かりやすく書かれていますので、関心のある方にはお勧めです。この「生徒指導提要」では、不登校や発達障害、精神疾患などについても言及されていて、学校が行うべき対応についても書かれています。ただこれはあくまで参考書的な位置づけであって、ここに書いてある内容は全て制度的な「義務」がある訳ではありません。

 

また場面緘黙だけでなく「不登校」の状態にある子に対しては、関連する重要な法律として「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(通称「教育機会確保法」)があります。

これは調べていただければ情報がたくさんでてきますので、ここでは詳しくは述べません。この法律自体が何か具体的な学校での対応をルール化している訳ではありませんが、「全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること」「個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること」などの重要な理念が述べられているので知っておいて損はないと思います。

 

 

プレミアムコース「特別支援教育」でできること

 

このように、場面緘黙への対応として必要なこと・効果のあることの多くは、通常の学校教育の中では義務となっていません。

一方で、特別支援教育の対象となっている子に対しては、下記のような義務が生じます。

 

通常の学校教育 特別支援教育
 「個別の指導計画」の作成と活用 義務ではない

義務

 「個別の教育支援計画」の作成と活用 義務ではない

義務 

 「話す練習」などの個別の対応※ 義務ではない

指導計画の内容は義務 

 合理的配慮の提供 義務

義務

※「話す練習」などの個別の対応は教育課程上は「自立活動」という項目として扱われます。「自立活動」は障害のある児童生徒一人ひとりの学習上・生活上の困難を改善・克服するための指導として教育課程に位置づけられているものです。詳細については別の記事で説明します。

 

「話す練習」などの個別の対応には、緘黙症状の改善のために行われる様々なもの(放課後に話す練習、録音を使った練習、などなど)が含まれます。

大事なポイントは「指導計画に書かれていることであれば」という点です。

指導計画に明記されていればだいたいどんなことでもできますが、書かれていないことをお願いしても断られることがあります。

つまりどのようなことでも無制限にできる訳ではなく、「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」を作成する段階でしっかりと検討し、その計画で行っていくことが学校と本人・保護者で合意されたものに対して、学校側は実施していく義務が生じるということです。

ですのでしっかりとした中身のある「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」の作成がとても重要になります。

指導計画に明記してあることなら「頼んだのにやってくれない」ということは(理屈の上では)なくなります。

 

では、このようにメリットの多いプレミアムコース「特別支援教育」ですが、その対象には何が含まれるでしょうか。

特別支援教育の対象は「特別支援学級」「通級による指導」及び「特別支援学校」の3通りがありますが、場面緘黙は単独では「特別支援学校」の対象にはなっていません。

ですので場面緘黙の子は「特別支援学級」か「通級による指導」の対象になると理解しておくとよいでしょう

 

  

まとめ

 

ということで今回は、通常の学校教育と特別支援教育では、学校の義務として対応する範囲が異なることを説明しました。

このようにプレミアムコース「特別支援教育」はメリットが多いため、「いちりづか」では特別支援学級・通級による指導の利用をお勧めするケースが多いです。

 

では、特別支援学級と通級による指導はそれぞれどのような違いがあり、場面緘黙の子の場合はそれぞれどのようなケースにお勧めでしょうか。

また特別支援学級や通級の対象になるには、どのような手続きで進めたらよいでしょうか。

個別の指導計画や個別の教育支援計画はどのように作成し、活用していったらよいでしょうか。

今回は色々な用語が出てきましたので、それぞれについては別の記事で解説していきたいと考えています。

 

  

【注意点】

この記事の内容は、日本の一般的な学校教育を念頭に書いています。

日本の学校でも、私立の学校などの場合は当てはまらないことがあります。