【ブログ】「話せるようになる」ための500の方法
話せるようになった子のこと
先日、小さい頃からずっと関わっている子から相談があり、オンラインで話しました。
もう高校生になる子で、緘黙症状自体は小学校に入ってわりとすぐに改善しているのですが、それ以降も学校で困ったことがあるとよく連絡をくれます。
だいたいいつも問題のパターンは同じです。
その子は学校でとても大変な思いをしているのに、先生の方はそれに気付けず「もっとがんばれ」「休まず学校においで」と言ってくるので辛くて学校に行けなくなってしまう、ということです。
担任の先生だけでなく、相談室の先生に話しても、スクールカウンセラーに話しても理解してらえないので、本当に困ると私のところに話しにやってきます。
どうしてこういうことになってしまのでしょうか。
私はこれは、「緘黙症状」とその背景にある「不安」や「緊張」との関係によるものだと考えています。
「緘黙症状」というのはあくまで表面的なその子の状態のことであって、その背景には様々な要因が関わっています。
目に見える緘黙症状は改善しても、根っこのところにある不安の感じやすさや緊張しやすさ自体はあまり変わらないことがあります。
そうすると、本人の中にはまだまだ強い不安や緊張があっても、周りからは緘黙症状が治って「普通の子」に見えてしまう、という状態になります。
小学校の頃に緘黙症状が治っている場合は、中学や高校で初めて会った先生からしてみればその子は「普通の子」です。
書類上は情報が引き継がれていても、今目の前にいる子が普通に話していれば、その子が話せなかった頃のことを想像する難しいでしょう。
そうすると周りからは「もっとできるはず」と思われてしまうのです。
このように問題が顕在化するかは別にして、こういった「緘黙症状」と「背景にある要因」の関係は多くの子にみられると思っています。
緘黙症状は外から分かりやすい問題の一つにすぎないのであって、それが改善してもまだ本人自身は辛さやしんどさを抱えていることがある、と考えておくことが大切です。