【ブログ】「話せるようになる」ための500の方法
緘黙症状が治った方からのお便り
数年前に相談を受けたかたから、話せるようになりましたという嬉しいお便りをいただきました。
許可をいただいたので、一部改変して転載します。
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メールで失礼致します。どうしてもお伝えしたかったことがあります。
5年ほど前だったと思います。
当時、小学生の娘が場面緘黙の症状があり、初めて面談させていただきました。その面談から娘は少しずつ改善されているのが目に見えてわかりました。今、中3で公立の受験結果の発表待ちです。自分で行きたい高校を見つけ、それに向かって頑張ってました。小学校時代、大人や先生とも話せなかった娘が中学校では普通に校長や先生と話せるようになりました。中3のクラスは男女とも皆が仲良く、受験の間も幸せそうでした。とうとうあと数日で卒業です。
一歩を踏み出すことができて本当に良かったです。感謝申し上げます。
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一番の転機は中学校選びとのことでした。
この方のお住まいの地域では、希望すると学区外の公立中学校に進学することができるそうです。
「中学校では小学校の時のことを知らない子ばかりのところに行きたい!」と言って自分で進みたい公立中学校を決めました。
こうして中学校で話せるようになっていったそうです。
メールには運動会のことも書いてありました。
低学年の運動会では、団体でのダンスや体操など全くその場から動かないため、一人だけ目立っていたそうです。
「皆は動いて場所移動をして踊っているのに我が子だけ直立不動のため、カメラとビデオを構えている私は、すぐにどこにいるか見つけることができました。それが高学年に近づく頃から、運動会で団体での体操やダンスをするようになり、我が子がどこにいるか分からなくなりました。姿が分からず、娘がどこにいるか分からないことで、ウルウルとこみ上げました。この集団の中で娘が普通に皆と踊ってる…と。嬉しかったです。」
保護者の方で、こういう経験をしたことがある方はたくさんいらっしゃると思います。
場面緘黙というのは「話せないこと」だけに注目してしまいがちですが、ほとんどの場合、話すこと以外の様々な行動の抑制が伴います。
「参観日に見たら顔が能面のようだった」「休み時間に一歩も机から離れられない」「手を引かれないとトイレに行けない」といったエピソードもよく聞きます。
それが次第に緊張がほぐれ、体が動くようになり、表情が出せ、非言語的なコミュニケーションがとれるようになり、やがて声が出せるようになっていきます。
ですので、焦らず少しずつできることを増やしていき、適切なタイミングがきたときに話せるように背中を押してあげることが大切だと考えています。
そして「いつか話せるようになる」という明るい希望がもてていることが、こういった長い道のりを進んでいくための大事な原動力になるのだと私は思っています。