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【連載:場面緘黙と不登校】第9回 「いい休み方」について①「学校を休む」の2つの意味
前回の記事では学校に行けない状態でも緘黙症状が改善してきた中学生の子について紹介しました。
この子の緘黙症状が改善してきた背景の一つとして、「学校に行きづらいはるかさんを暖かく見守りながら、学校以外でできる活動を広げていった」ことがあると説明しました。
またその前の記事では「しっかり休む」ことが大切だということをお話ししました。
私は学校に行きづらい子への対応として、「いい休み方」をすることがとても大切だと考えています。
そこで今回は、「いい休み方」とは何かについて考えていきましょう。
学校を「休む」には2つの意味がある
学校を欠席することを「学校を休む」とも言いますが、よく考えてみるとこれには2つの意味があります。
1つ目は「休養して心身の元気を整えること」。
「病気で休む」など、「休む」というときには一般的にはこのことを意味することが多いでしょう。
土日祝日が「休みの日」なのは、毎日行ったら消耗してしまうからです。
せっかく休むんだったら、しっかり休養して心と体の元気を蓄えたいですね。
もう1つは、「(本来行くべき)学校に行くのを一時的にやめること」。
日本語には、普通ならしていることを「しない」という意味での「休む」ということばがあります。
すごろくでも「1回休み」と言いますし、音符にも「休符」がありますね。
定期配送のお取り寄せも「今月は1回お休みします」みたいに使います。
「学校を休む」も、1つ目の意味よりもむしろ、こちらの意味で使われることが多いのではないでしょうか。
さて、よく考えてみてください。
「学校を休む」というのをどちらの意味で使っていますか?
2つ目の意味で使っているとしたら、「休む」と言ってもただ「学校に行かない」だけになっていて、心と体の元気を蓄えることになっていない、そんな休み方になっているかもしれません。
※大変細かい話ですが・・・
実は、「○○を休む」というように目的語(~を)がつく場合、文法的には2つ目の意味になります。つまり「学校を休む」と言ったら、文法的には「休養する」のではなく「学校に行かない」という意味になる訳です。ですので、1つ目の「休む」であることを意識したいときは、「今日は学校に行かないで休む」のように言った方が正確ということですね。
「よくない休み方」について
休むと決めたら「いい休み方」をすることが重要です。
「いい休み方」とは、「心と体の元気が溜まる休み方」です。
反対に、よくない休み方もあります。
それは「心と体の元気が消耗する休み方」です。
せっかく学校を休んでも、周りから学校に行くように促されたり、そういう暗黙の期待が強かったりすると、本人はいたたまれない気持ちになります。
本来は子どもは学校に行っている時間ですから、家の中でひっそりと息を潜めて過ごしていて、ちょっと外出するのにも気を遣うでしょう。
「みんなは今学校で勉強しているのに自分は何もできていない」「今は9時30分だから2時間目が始まったところだ」「3時間目の図工だけはやりたかったな」「そろそろ給食の準備だ」・・・こんな気持ちで1日過ごしていないでしょうか。
それは「休む」のではなく「(本来行くべき)学校に行っていない」だけです。
これでは休んでも休んでも、心身が消耗するだけになってしまいます。
どうせ休むなら「いい休み方」を
「いい休み方」をするには、本人も家族も学校の先生も「今は休むぞ」としっかり決めて、あとは自由に楽しく過ごすことが大切です。
散歩とか買い物とかスポーツとかに行ってもいいし、もっと普段出来ないことをしたりしましょう。
家族は「学校を休んでる子を遊びに連れ出してもいいのか」と思うかもしれないですが、別に体調を崩して休んでいる訳ではないので、楽しく過ごせばいいんです。
そこで次回からは、「いい休み方」について考えていきたいと思います。