【ブログ】「話せるようになる」ための500の方法

2024-03-15 16:00:00

【学校との連携⑬】「通知票」について①安心してください。通知票を見て嫌な気持ちになるのは、「場面緘黙あるある」です。

年度末は「通知票」が返ってくる時期でもありますね。

場面緘黙の子の通知票は、だいたいどこかしらガッカリすることが書いてあるものです。

それはもう本当によくありすぎる「場面緘黙あるある」と言えるでしょう。

 

とは言え簡単に笑い飛ばしてしまえるものでもありません。

今回からしばらく、この「通知票」問題について考えていきましょう。

 

 

「通知票」問題の3つのタイプ

 

まずはじめに、問題を整理しておきましょう。

通知票からくる問題は大きく分けて次の3つです。

1.各教科や行動・生活面の評価の記述で「嫌な気持ちになる」

2.成績が低く評価されることにより「不利益を受ける」

3.「個別の指導計画」の評価と活用がきちんとなされない

 

小学生の場合は基本的に1.が中心でしょう。

・各教科の成績が「低い評価」か「評価不能」(斜線など)になる

・無理解や誤解から「心ない記述」が書かれる

・無責任な「励まし」や「期待」が書かれる(「○○をがんばりましょう」系のやつ)

などがあります。

(もし場面緘黙カルタがあったら、「お」は「音楽の成績はいつも/(斜線)」でしょう)

 

中学生以降になると2.の問題も生じてきます。

1.の場合は嫌な気持ちになるだけで実害はあまりないですが、2.の場合は深刻です。

このケースは合理的配慮によって対応していくことになります。

 

特別支援学級や通級による指導を利用している場合、3.のタイプもあります。

年度末なのに、なぜか評価を記載した個別の指導計画が返ってこない、というケースをよく目にします。

通知票と一緒に個別の指導計画が返ってこない場合は、「あれ、おかしいぞ」と思って下さい

 

 

なぜ「通知票」を見て嫌な気持ちにさせられなければならないのか

 

「通知票」を見て嫌な気持ちになるのは、それが一方的な通達だからだと思います。

「あなたは○○ですよ」と、(例え先生の誤解や勘違いがあっても)半ば暴力的に決めつけられてしまうのが通知票というものです。

そこには不服申し立ての余地が(多くの場合は)ありません。

 

でも考えてみてください。

なぜ通知票を見てそんなに嫌な気持ちにさせられなければならないのでしょう

本来通知票というのは、子どもや保護者を嫌な気持ちにさせるために存在しているのではないはずですね。

あれ?では通知票って何のためにあるんでしたっけ・・・?

 

 この問題を深く考えることで、次第に本質に近づいていくことができます。

それは実は、「教育において評価とは何か」という深い問いです。

なぜ学校では評価をするのか。

テストは何のためにあるのか。

「通知票」の存在意義とは何か。

 

上記の3タイプとそれへの対応を考える前に、次回の記事ではこの問題への考察を深めていきましょう。 

2024-03-15 09:00:00

【学校との連携⑫】特別支援学校について④特別支援学校に通うと進路は不利になるか?

特別支援学校に関して、こんなご質問を頂きました。

「もし本人が専門学校に行きたいとなった場合、みんなと同じように試験が受けられるのでしょうか。」

 

特別支援学校への就学を検討する際に「特別支援学校に行くと進路が不利になるか」、今回はこの問題を考えていきましょう。

 

最初に分かりやすく結論を書いておきますね。

「制度上は、特別支援学校に就学しても進路(進学や就職)の制限を受けることはありません」

 

 

専門学校でも4年制大学でも進学できる

 

専門学校は、法的には「専修学校」の一形態(専門課程を置く専修学校)です。

「学校教育法 第百二十五条③」が就学者の基準を示しています。

 

学校教育法 第百二十五条③ 専修学校の専門課程においては、高等学校若しくはこれに準ずる学校若しくは中等教育学校を卒業した者又は文部科学大臣の定めるところによりこれに準ずる学力があると認められた者に対して、高等学校における教育の基礎の上に、前条の教育を行うものとする。

 

法律の文なので読みにくいですが、「高等学校若しくはこれに準ずる学校(略)を卒業した者」とあります。

特別支援学校は「これに準ずる学校」になりますので、受験資格はあることになります。

 

特別支援学校を卒業して、4年制大学に進学することもできます。

文部科学省の説明では、このように書かれています。

 

*************

大学(短期大学を含む。大学院を除く。)の入学資格は以下のいずれかに該当する方に認められます。(2024年2月時点)

高等学校又は中等教育学校を卒業した者(法第90条第1項)

特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項) (以下略、「法」は「学校教育法」のこと)

*************

 

視覚障害や聴覚障害、肢体不自由などの障害のある子の場合はイメージしやすいですね。

知的障害の場合は通常の教育課程とは異なるのですが、それについては言及されていないので制度上は可能です。

※「知的障害の特別支援学級」に在籍していた子が4年制大学に進学する例はたくさんありますので、「教育課程」という面からも問題ないと言えるでしょう。

 

 

実際に、受験の際に不利になるか

 

出願資格だけでなく、受験の際に「特別支援学校だから」という理由自体で不利になることもありません(あったら差別です)。

こういった問題が起きないように、出身校や受験者氏名は隠して採点することになっているはずです。

 

ですが推薦入試など高校での活動や実績が重視される選抜では、不利になることはあり得ます

例えば部活の活動実績を考えてみましょう。

「野球部」の場合、「特別支援学校だけの大会」と「甲子園出場」とでは明らかに重みが違うので、加算される得点が異なってくるのはやむを得ないでしょう。

 

もしかしたら、医学部受験では出身校など様々な条件が考慮されることがあるかもしれません。

ただここでしているのは症状が重く知的障害の特別支援学校に進学せざるを得ないケースの話ですので、かなり例外的だと考えてよいでしょう。

(とは言え、そういう子たちにも制度上は医学部受験の門戸は開かれていると思いますが)

 

学業面で不利になることはあります。

当然、特別支援学校ですから進学校と比べれば受験対策は十分にはできません。

知的障害の教育課程で学ぶ場合であれば、そもそも教科の学習の時間も高校と同程度には保障されません

ただこれも、そもそも通常の学校で生活できないほど症状が重いケースの話をしているので、「特別支援学校だから勉強が遅れる」ということにはならないでしょう。

 (むしろ特別支援学校の方が少しでも学校生活が送れると期待されるから、選択している訳ですので)

 

ですので、「症状が重くてその学校での学びには適さない」ことから合格できないことはあっても、「特別支援学校だから」という理由自体で不合格になることはないはずです。

結論は「特別支援学校に就学しても進学で不利になることはない」と言ってよいでしょう。

 

 

雇用に関する規程は特にない

 

雇用に関しては、どの法律にも「特別支援学校」に関わる規程は特にありません。

ですので特別支援学校に在籍していた子が就職で制限を受けることは、制度上はありません

 

雇用については、雇用者側の考えや事情が大きく反映されますので、実際に不利になることはあるでしょう。

そういう場合も「特別支援学校だから」という理由自体よりも、「症状が重くて仕事が難しいと判断されること」が理由になるはずです。

ですので特別支援学校かどうかは、あまり関係ありません。

 

2024-03-12 09:00:00

【学校との連携⑪】特別支援学校について③特別支援学校に就学した方がよいケース

場面緘黙の症状のある子の就学先は、ほとんどの場合「通常の学級」「通常の学級+通級による指導」「特別支援学級」のいずれかです。

しかし特別支援学校に就学した方がよいケースも稀にあります。

 

1.知的障害が重い場合

2.緘黙症状や関連する症状が重く、特別支援学級では対応できない場合

3.緘黙症状や関連する症状は重くないが、特別支援学級では対応できない場合

4.本人の強い希望がある場合

 

「関連する症状」とは、ここでは緘黙症状以外の緊張や行動の抑制のことだと考えてください。

場面緘黙の症状のある子の中には、話せないだけでなく強い緊張や行動の抑制があり、学校でまったく動けなくなってしまう子もいます。(このような行動の抑制を「緘動(かんどう)」と呼ぶことがあります)

こういった症状が極めて強い子の場合、体が硬直して全く動けなくなってしまい、手を引かれないと移動することもできなくなってしまうこともあります。

このようなケースでは、生活全般にわたる援助が必要になり、特別支援学級では十分な対応ができないため、特別支援学校を利用する方がよいことがあります。

ですので1.や2.のような場合は、障害の程度から考えても特別支援学校への就学は妥当だと言えるでしょう。

 

 

緘黙症状や関連する症状が重くないが、特別支援学級では対応できない場合

 

一方、緘黙症状や関連する症状はそれほど重くなく、本来であれば地域の学校の特別支援学級で学校生活を送ることができるにも関わらず、特別支援学級では対応できないケースもあります。

例えば以下のような例が考えられます。

・人員の配置や担当教員の専門性の問題で、緘黙症状のある子に十分な対応ができない

・他の在籍児との関係で、特別支援学級がその子にとって落ち着いて過ごせる場所になっていない

・学校や自治体の方針により特別支援学級を居場所として活用することができない

 

これらに共通するのは、「本来は特別支援学級でできるはずの対応」が、主に環境側(学校側)の構造的な要因によってできないということです。

学校側に構造的な要因がある場合、保護者や本人の努力によってそれを変えることは困難です。

このようなケースで、そのまま特別支援学級への在籍を続けていても改善が見込めない場合は、選択肢の一つとして特別支援学校への転校を考えた方がよいかもしれません。

 

 

本人の強い希望がある場合

 

稀に、本人が特別支援学校への転校を強く希望することもあります。

特別支援学校を積極的に希望するというよりは、現在通っている学校以外の学校を希望する、というケースが多いと思います。

 

例えば以下のような例が考えられます。

・現在の学校では「話さない子」と思われてしまっているので、違う学校に行きたい

・少人数の学校や落ち着いた環境の学校に行きたい

・より専門的な治療が受けられる学校に行きたい

 

このような場合は、特別支援学校が選択肢になり得るのかどうか、本人が学校を見学する機会を設けるなどして検討するとよいでしょう。

2024-03-11 09:00:00

【学校との連携⑩】特別支援学校について②就学の基準となる条件

前回の記事では、特別支援学校の対象となるかの基準は「学校教育法施行令」で定められており、この基準に該当していれば、場面緘黙の子も特別支援学校の対象となると説明しました。

今回はこの基準について詳しく解説していきましょう。重要な表なので再掲します。

 

学校教育法施行令 第二十二条の三 法第七十五条の政令で定める視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。

障害の程度
視覚障害者
両眼の視力がおおむね〇・三未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によつても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの
聴覚障害者
両耳の聴力レベルがおおむね六〇デシベル以上のもののうち、補聴器等の使用によつても通常の話声を解することが不可能又は著しく困難な程度のもの
知的障害者
一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの
肢体不自由者
一 肢体不自由の状態が補装具の使用によつても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
二 肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの
病弱者
一 慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの
二 身体虚弱の状態が継続して生活規制を必要とする程度のもの

 

 

「知的障害者」に該当する場合

 

一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの

「知的発達の遅滞があり」とありますが、知的能力の水準は知能検査の結果を参照します。

概ね「IQ70~75以下」が基準になっています。

 

ただしIQの数値だけが判断基準なのではありません

後半は「~、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの」と書かれています。

このように、適応行動の問題も考慮して判断をすることとされています。

 

場面緘黙の症状が重い子の場合は、後半部分はかなり該当することが多いでしょう。

ですので「IQが概ね70以下で、コミュニケーションが困難であり、日常生活で頻繁に援助が必要」であれば、特別支援学校の対象になると言えます。

 

二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの

2つ目の基準は、「知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもの」についてです。

「前号に掲げる程度」というのは「知的発達の遅滞」のことですので、「達しない」ですから「IQ70よりも高い」という意味になります。

と言ってもいくら高くてもよい訳ではなく、これは「境界知能(ボーダー)」と呼ばれる範囲(概ねIQ70~85以下)を指すと解釈するのが妥当だと思います

 

「IQ85以下」というのは、厳密に言うと説明が難しいのですが、大まかに言って「100人中下から15番目以下」または「生活年齢よりも15%くらい精神年齢が低い」という感じで捉えればよいでしょう。

例えば「小学3年生の子が小学2年生の算数の内容で苦戦している」くらいです。

このくらいの知的能力の範囲に当てはまる子は、障害の有無に関わらずクラスの中にある程度います(1割ちょっとくらい)。

 

そういった知的能力の子で、さらに「社会生活への適応が著しく困難なもの」だと、この基準に当てはまる訳です。

「社会生活への適応が著しく困難なもの」というのは、かなり解釈の幅がある表現です。

この場合は、緘黙症状だけでなく行動の抑制もあり、学校では食事や排泄などの行動も困難な状態、のように理解しておくのがよいと思います。

 

以上のことをまとめると、「IQが概ね70~85程度で、緘黙症状だけでなく行動の抑制もあり、学校では食事や排泄などの行動も困難のように解釈するとよいでしょう。

ただしこれはあくまで基準に該当するかどうかの議論であって、「知的障害」のある子として特別支援学校に就学するのをお勧めするかどうかは別の話です。

どのような場合に特別支援学校を選択したらよいかは、また別の記事で解説します。

 

 

「病弱者」に該当する場合

 

「病弱者」の基準も2つありますが、2つ目は「身体虚弱の状態」で場面緘黙とは異なりますので、1つ目の基準だけを解説しましょう。

 

一 慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの

前半に列挙されている疾患名は場面緘黙には関係がないので無視して結構です。

「その他の疾患」とありますので、場面緘黙やその他の不安症などの関連する疾患がここに該当すると考えることができます。

また「医療又は生活規制を必要とする」とありますが、心理療法も医療の一部ですので定義の上ではこれも該当すると考えることはできます。

従って、「場面緘黙等の疾患があり、継続して心理療法を行う必要がある」という状態なら、条件を満たすと言うことはできるでしょう。

 

とは言え、場面緘黙の症状が「病弱」の代表例という訳ではもちろんありません。

あくまで「もし必要があれば、(少し無理やりでも)「病弱者」の定義に当てはめることはできるので、特別支援学校への就学は可能」ということです。

なぜこのような話をするかというと、実際に「病弱」の特別支援学校に場面緘黙の症状のある子が就学するケースはそれなりにあり、現実的な選択肢の一つになり得るからです。

 

ただしこれに関しては、個々の学校ごとの事情に大きく左右されます。

近年では「病弱」の特別支援学校に、呼吸器疾患や腎臓疾患といった身体の問題だけでなく、精神・心理的な問題によって通常の学校生活を送るのが困難な状態になっている子が在籍するケースは少なくありません。

ですがそういった子を病弱の特別支援学校で広く受け容れているかどうかは、地域(都道府県)によってかなり違いがあるようです。

ですので病弱の特別支援学校が選択肢になるかどうかは、お住まいの地域の状況によって判断する必要があります。

 

 

どのような場合に特別支援学校を選択したらよいか

 

ここまで、場面緘黙の症状のある子が特別支援学校に就学する場合の基準となる条件について解説してきました。

先ほどから述べていますが、これらはあくまで「条件を満たすことができる(=選択肢になり得る)」という意味であって、「特別支援学校に通うのが適応かどうか」はまた別の話です。

ではどのような場合に特別支援学校を選択したらよいかについて、次回の記事で検討することにしましょう。

 

2024-03-10 09:00:00

【学校との連携⑨】特別支援学校について①場面緘黙の子も特別支援学校に就学することはできる

ここまでは主に、地域の小中学校に通って特別支援学級や通級による指導を利用するケースについて考えてきましたが、ここから特別支援学校についても説明していきましょう。

 

場面緘黙の子の中には特別支援学校に通う子たちも少なくありません。

その一方で、「場面緘黙だけでは特別支援学校の対象にならない」のように言われたり、そういう話を聞いたことのある方もいるでしょう。

そこでまずは「場面緘黙と特別支援学校」に関わる制度について確認していきましょう。

 

はじめに結論を書いておきましょう。

場面緘黙の症状のある子も、条件を満たせば特別支援学校に就学することはできます。

 

 

「場面緘黙」自体は、特別支援学校の対象となる障害ではない

 

いきなり上記の結論と反対の見出しを書いてしまいました。

ただしこれらは矛盾している訳ではありません。

特別支援学校の対象となる障害は、以下の5種類です。

・視覚障害

・聴覚障害

・知的障害

・肢体不自由

・病弱

 

この中には、「情緒障害」(←場面緘黙はここに含まれる)は入っていません

つまり情緒障害は、特別支援学級・通級による指導の対象ではあるが、特別支援学校の対象ではないということです。

冒頭に述べた、「場面緘黙だけでは特別支援学校の対象にならない」のように言われたというケースは、このことを指している訳です。

 

 

場面緘黙があっても特別支援学校の対象になるケース

 

では、場面緘黙があっても特別支援学校の対象になるのはどのようなケースでしょうか。

それは、場面緘黙の症状があり、さらに上記の5障害のいずれかにも該当するケースです。

障害が重複していれば論理的にはどれも当てはまりますが、実際に多いのは「知的障害」と「病弱」の2つです。

 

なお、「場面緘黙+自閉スペクトラム症」の場合は制度的には特別支援学校の対象にはなりませんが、症状が重く著しい適応行動の問題がある場合は認められることもあります。

 

 

特別支援学校の対象となるかの判断基準(障害の程度)

 

当該の児童生徒が特別支援学校の対象となるかの基準は、「学校教育法施行令」という法律で定められています。

 

学校教育法施行令 第二十二条の三 法第七十五条の政令で定める視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。

障害の程度
視覚障害者
両眼の視力がおおむね〇・三未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によつても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの
聴覚障害者
両耳の聴力レベルがおおむね六〇デシベル以上のもののうち、補聴器等の使用によつても通常の話声を解することが不可能又は著しく困難な程度のもの
知的障害者
一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの
肢体不自由者
一 肢体不自由の状態が補装具の使用によつても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
二 肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの
病弱者
一 慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの
二 身体虚弱の状態が継続して生活規制を必要とする程度のもの

 

このうち「知的障害者」や「病弱者」の基準に該当していれば、場面緘黙の症状のある子も特別支援学校の対象として認定されることになります。

冒頭で書いた「条件を満たせば特別支援学校に就学することはできます」というのは、この条件のことを指しています。

 

例えば知的障害者の基準に「二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの」とありますが、分かりやすく言い直すと「それほど知的障害が重くなくても、社会生活への適応が著しく困難なら、特別支援学校の対象」ということです。

実際、場面緘黙の子たちの多くは学校で話せないし、買い物も一人ではできない訳ですから、症状の重いケースなら「社会生活への適応が著しく困難」な状態にあると言うことはできるでしょう。

 

少し難しい表現も出てきますが、重要なことでもありますので、次回の記事でもう少し詳しく解説することにしましょう。

 

 

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